2006年3月15日

ルフトハンザ航空を使い午後フランクフルトに到着。空港に乗り入れているSバーンで中央駅に移動しました。
雨は降っていませんでしたが曇っています。ネットで事前に調べていた天気予報は各国、各メディアでばらばらで実際の現地気温は低い方の予報が当っていました。予約していた駅近くのホテルを目指しました。デザイナーズホテルとは日本だけの事かと思っていましたが、当地でもその様なジャンルがあって、当ホテルはそれに分類されるようです。
チェックイン後、町の中心へ向かって歩きます。巨大な高層建築は直ぐ目に付く為、目的の建築には簡単に辿り着く事が出来ます。DG銀行(KPF)、コメルツバンク(ノーマン・フォスター)と連続します。エントランスまでは入る事が出来ますが、それ以上はセキュリティチェックがあり入れません。外観の印象は端正なディテールやバランスの良さはあっても期待していたインパクトは得る事が出来ませんでした。スカイスクレーパーのデザインも根本的な所での行き詰まりを感じずにはいられません。


更に歩き大聖堂へ。歴史的建築の残るレーマー広場に近いのですが、その建築群も思っていたより小規模で限られています。日本の街と同じくフランクフルトの町は戦時中の空爆によって大きく変化してしまったという歴史があり、現在の町はその結果と言えるのかもしれません。
その日は飛行機での疲れが残っていた事もあり、スーパーで日用品を買い早めにホテルに戻りました。

2006年3月16日

7時に起床。時差の影響で未明から早朝に目が覚め3度寝位しました。朝食後、電車の出発まで時間があったためメッセ・トゥルム(ヘルムート・ヤーン)へ行きました。クラシカルな外観で目を引きますが、こちらもエントランスから奥へは行けません。同様に人を寄せ付けない印象の建築です。
中央駅よりケルン行きのICEチケットを求めカウンターへ。窓口の親切な対応で5日間のレイルパスが有利である事が判明し、購入。ドイツ国内のDB、Sバーンが乗り放題でその後の移動で重宝しました。
1時間ほどで、ライン川の向こうに車窓からケルン大聖堂が見えてきます。駅を出ると直ぐ正面に建っており、やはりその大きさに圧倒されます。ドイツゴシックの中で最も好きな教会堂です。行程は階段のみで500段強、片道約30分との事で多少ためらいましたが塔に登る事にしました。最上部で塔のTOPの飾りを内部から見上げる事が出来ます。ゴシックの特徴である垂直性が外観にもよく表れ、ラテン文化との気質の違いを感じます。


塔を降り、昼となった為近くのカフェでMENUをオーダー。イタリアンの店でしたが、陽気なギャルソンが担当してくれ、つい長居してしまいました。

大聖堂の直ぐ隣に建つヴァルラーフ・リヒャルツ美術館(ブスマン&ハベレール)へ。収蔵物は量、内容とも豊富で今回幾つか訪れた美術館の中では一番良かったように思います。トップサイドライトからの光が内部に入り込み安定した明るさを保っています。館の中央に大階段があり、ここを基点に上下階、左右に空間が広がっています。上の階から見下ろしたときはそれ程感じるところも無かったのですが、この階段を最下階から見上げたシーンは素晴らしく、奥行きのある重層した空間を見る事が出来ます。写真に撮りたいと思いましたが、残念ながら館内撮影禁止です。


帰りのICEの時刻まで40分程あったので、電車から見えたロマネスクのマルティン教会堂へ。先ほどのゴシック大聖堂に比べて素朴で簡素なイメージです。


フランクフルトに戻りマイン川の南のエリアへ。ここには幾つかの美術館・博物館があります。夕方で何れも閉まっていたのですが、通信博物館(ギュンター・ベーニッシュ)が空いていた為中に入る事が出来ました。斜めに傾けられたアトリウムの筒状のガラスが印象的です。


夜、野菜のスープ(ミネストローネ風)、ウィンナーシュニッツェル、ビールで満腹になり、昨日と同じく9時過ぎには寝入ってしまいました 。

2006年3月17日

朝よりICEを使いシュトゥットガルトへ。昨日とは異なる風景が車窓から見えます。インフォメーションで地図を貰い目的の建築物の位置を確認し、先にシュターツギャラリー(ジェイムズ・スターリング)へ向かいました。町はそれ程大きい物ではなくヒューマンスケールに合った印象を持ちました。

駅と公園

公園を抜け、幹線道路を渡りギャラリーに至りますが、町からのアプローチでこの幹線道路による導線の分断が残念に感じました。ギャラリーは円形の中庭を中心に展示空間が配置され、エントランスから変化のある空間を見る事が出来ます。


その後UバーンのU7線に乗り、Killesberg Messe駅で下車しヴァイセンホーフ・ジードルングへ。ミース棟の1階部分にインフォメーションがあり、そこで本を購入しフリーマップを入手しました。全体の配置の模型が置かれており、興味深く見ていました。


基本的にどの棟も住宅として使われている為内部に入る事が出来ませんが、敷地の外からの撮影を制限する看板等は無かった様に思います。撮影中にふとバルコニーにこちらに気づいた人影を見ましたが何の注意も無く、歴史的に重要な建物とは言え有り難いものだと感じました。なだらかな斜面地の住宅群で配置上どの様な意図があったのか分かりませんが、コルビジュエ棟が最も良い位置に建っているのではないかと思います。全体を見終わり、改めて近代建築の現代への影響の大きさは否定できないと痛感させられます。






Uバーンで市街地に戻る際、間違えて一つ手前の駅で下車。目的地に向かって歩いているうちに、ガラスのボックス状の建築が目に入りました。美術館のようですが、事前にチェックしていなかった物で、かなり気になり受付でアーキテクトは誰か尋ねました。建物は昨年竣工したKUNSTMUSEUM STUTTGART(Rainer Hascher & Sebastian Jehle)だそうです。ミュージアム以外にも展望フロア、レストラン、カフェがあり自由に入る事が出来るエリアが多く有ります。思わず見つけた建築が気に入り長い時間をここで過ごしました。


近くにゴシック教会が見えた為、中に入ろうとしましたが、鍵がかかっていて入れませんでした。後で調べるとプロテスタントの教会でStiftskircheでした。


夕方、フランクフルト行きのICEに乗るためホームに行くと人の列。ドイツ国内では初めて経験のラッシュアワーに出くわした様で、途中の駅まで立ったままでした。

2006年3月18日

朝よりマイン川の南側のエリアへ。橋を渡ると川沿いの道が市場となり、先日の雰囲気と異なり楽しげな様子と変わっていました。
フランクフルト工芸博物館(リチャード・マイヤー)にエントリー。白く明るく上品に仕上げられた建築の印象は、以前見たバルセロナの美術館と同じです。ここにある椅子のコレクションは思っていたほど多くはありませんでした。


更に川沿いの道を移動しドイツ建築博物館(オズワルト・マティス・ウンガーズ)へ。既に有った19世紀の邸宅の外観は残され、内部に建築の歴史、幾つかのデザインプロセス、ワークルーム等があります。デザインプロセスで初期的な検討模型から具体的な設計段階の物まで見る事が出来、参考になりました。


5日間有効のレイルパスをフル活用し、フランクフルト近郊の町マインツへ。ここにはドイツロマネスクの大聖堂があり、見に行く事にしました。町に近づくに連れ車窓から徐々に見えましたが、一旦降り立つと、方向が良く分かりません。人に聞きながら何とか辿り着きました。マインツは今回訪れたどのドイツの町よりもよりローカルな雰囲気が感じられました。ここも土曜の為か聖堂付近の通りは露店が多く出て賑やかです。フルーツ、パン、チーズその他多くの食べ物などに気を取られましたが、一先ず聖堂を目指します。聖堂を含むこの町の殆どが大戦中破壊され、戦後の復興で建て直されたとはとても見えません。日本を含め破壊され復元しなかった町と、そうでない町の根本的な差はいったい何かと考えさせられます。


見学後、露店を見ながら駅へ戻る途中、気になっていたプレッツェルを1つ購入。帰りの電車の中で食べましたが、外見のイメージと違い中が柔らかく且つ弾力があり、適度な塩気で美味しく頂きました。
フランクフルトに戻り夕方まで時間があった為、近代美術館(ハンス・ホライン)へ行きました。その外観から、ポストモダンを感じさせ、好みの建築ではなかった為後回しとしていました。しかしエントランスに入り奥のホールを垣間見たときから非常に惹かれる物があり、かなり長い時間空間を楽しみました。幾つかの接点となる空間、複雑に上がる階段、視線の複雑なクロス等シークエンスを強く感じます。また鋭角三角形の敷地を活かした斜めの線が、変化のある空間を各部分に造っています。ポストモダンの建築をファサードだけの表層的現象と捕らえていたのですが、この空間のあり方はモダンでもデコンでもないポストモダンの物と思います。大変いい勉強になりました。また建築に先入観は捨て、実際見て体感するが大事と感じました。頭の整理も兼ねて1階のカフェで一服しました。




ドイツ最後の夜は地下のワインケラーを利用した店で夕食としました。雰囲気、ドイツ料理に満足しホテルに戻ります。


今回のドイツは、鉄道を有効に使う事の出来た旅でした。